りぽログ

twitterアカウント→@nakayoshi0505 とあるChemical Engineerによる徒然日記。好物はリポビタンD。たまに趣味(ゲーム・ドライブ)のことも?

エンタルピーの定義式『H=U+PV』をLegendre変換により導く。

大学で熱力学を勉強していて、最初につまずくのがこの「エンタルピー」ではないでしょうか?教科書にはH=U+PVで定義される。としか書いてありませんが、実はこの定義式、きちんとした数学的手法(Legendre変換)により導かれます。

Legendre変換とは?

ざっくりいうと、切片を傾きの関数として表すことで変数変換する方法です。(細かい数学的な説明は省きます。すみません...)

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イメージについて、ある関数Y(X)の接線は

          Y=X\frac{dY}{dX}+\phi

で表されます。切片を傾きの関数としてみると

          \phi=Y-X\frac{dY}{dX}

ですね。次に、内部エネルギーとエンタルピーの「自然な」独立変数での表記はそれぞれU(S,V)、H(S,P)(状態変数で表されている)ですから、内部エネルギーについて、Vを変換したらいけそうですね!

〜以下計算〜

\begin{eqnarray}
\phi =U-V\left(\frac{\partial U}{\partial V}\right)_S \\
  U =TdS-PdV \mbox{より} \left(\frac{\partial U}{\partial V}\right)_S=-P
\\よって、\phi=U+PV
\end{eqnarray}

このようにして得られた関数\phiが、エンタルピーの正体です。

その他熱力学変数について

以上のやり方でエンタルピーの定義が導けました。ちなみに、UについてSを変換することでヘルムホルツの自由エネルギーが、HについてSを変換することでギブズの自由エネルギーが得られます。

(結局全部同じような意味を持つ量なんですね笑。変数変換により扱いやすい変数で書き直してるだけ)